Tinkerbell 11thを終えて ―「本気」の楽しさを思い出した1日

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どうも、英司です。
災害級の暑さが続く2024年の夏ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私の方は、毎年恒例の行事となったプールパーティ「Tinkerbell」を無事終えることができました。このパーティのオーガナイズを始めて早11年。

当然、本質的にはこのイベントの成否や価値の判断はあくまでご来場されたお客様が決めることであり、私が言えるのは「無事終えることができた」というところまでです。

ただ、オーガナイザーがいろいろな人の見えるところで自身のイベントについてあれこれ後日談を語るのは野暮だとは理解しつつも、久々に筆を取りたくなるくらいには心動かされる回だったと思っていますので、今回のエントリを書くことにしました。

まかりなりにも11年――長寿イベントの強みが出てきた

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Tinkerbellは会場として利用させていただいているスペースはもともとはMVやコスプレイヤーの方々の撮影用のための場所であるため、パーティをする前提で作られてはいません。

ですので、販売するお酒の仕入れやBBQの準備、キャストによるショータイムのステージの設営、DJの使用するスピーカーなどの音響設備の手配など、すべてを私たちの手でやらなくてはなりません。

オープン前、誰もいない会場の様子。毎年、パーティ当日の朝にこの光景を目にすると、今年も頑張ろうと気が引き締まります。
早速、音響の確認をするDJ陣。会場に音響設備がないため、業者からレンタルしています。

加えてTinkerbellは年に一度きりのイベントで、恒常的にイベント運営のノウハウを蓄積していくことが難しいのがこのイベントの難点でした。
私の立場で言うのは気が引けますが、正直なところイベントを満足に開くための難易度はとても高いというのが正直なところです。

しかしながら、そうは言っても一部のメンバーはスタッフ歴が10年近くに達して来ていたり、さすがに11年もやっているとGOGO BOYとして出演してくれたキャストも何度かお客様としてTinkerbellに遊びに来ていたりするため、なんとなくでも当日の動きを理解していて、「イベント運営のノウハウが蓄積させづらい」という難点はクリアしつつあることをとても実感した回でした。

大の大人たちが「本気」を出すということ


毎度のことではありますが、スタッフやキャストは皆それを本業にしているわけではありません。というか、一昔前に「LGBT市場」などという単語があちこちで叫ばれていたため誤解をされがちですが、ゲイ業界という市場は世間で思われているよりもずっと小さく、その中だけで食べていける人はかなり少ないでしょう。新宿二丁目の店子さんたちでさえ、オーナーやママさん以外は本業が別にある人が副業的に入ってシフトを回しているのが実情です。

言い換えれば、Tinkerbellのキャストやスタッフも普段は別の仕事をしている真面目な大人の社会人であり、各々がパーティの運営スタッフとして見せるのとは違った顔や能力を持っているということです。

そんな、能力もバックグラウンドも違った大の大人たちが自分の得意なことを持ち寄って、「本気」でひとつのイベントの成功のために知恵やスキルを出し合えば、これだけのことができてしまうということには私自身もとても勇気づけられました。

OPEN直前、GOGO陣と当日の動きを確認
その頃、バーでも開店準備が急ピッチで進みます

いつか、私がまだ20歳くらいで業界に出てきたばかりの時だったと思うのですが、当時イベントで知り合った今の私と同じくらいのアラフォー世代のゲイの方が「ゲイは社会人になっても全然違う属性の友人が増え続けるので、それはすごく財産になるよ」と言っていたのを覚えています。

当時私は大学生でしたが、今とは時代も違いまだまだLGBTに対する理解も希薄で偏見もあり、それどころか独身男性に対する風当たりすらも強い時代。少し古い業界であれば結婚の有無で出世や転勤が決まるようなことがまだまだ横行していたような時代です。私も就活を控えていた時期で、社会に出ることに漠然とした不安を抱えている時期でもありました。そんな時代にあってもゲイとして生まれたメリットを享受しながら強く生きている当時の大人のゲイを見ると、なんだか安心したのを覚えています。

あれから約20年―。少しおこがましい気もしますが、今度は私たちが、ほんの少しは今の若いゲイの方々に対してそのような存在になれていたらいいなという気持ちです。

今回、スタッフもキャストも全員がほぼ同じ熱量の「本気」でイベント当日に望んでいたのも印象的でした。特に、スタッフもキャストも「来てくれたお客様にとってこの夏1番の思い出の1日にしてもらうこと」という目標を全員が共有しており、自分に与えられた持ち場や役割を全うしたことはもちろんのこと、自身の仕事を限定することなく臨機応変に働いてもらえたことが、今年もイベントが成功したことの一番の要因だと思っています。

▲2回目のショータイム中、突然雷が鳴り始めたのを察知してアマゾンのジャングルを思わせる野性的な選曲をし、雷さえもBGMの一部にしてしまったDJのTACKHEY氏
▲雨が降り始めてお客様が屋根のあるところに行こうとするのを食い止めるかのごとく本気で会場を盛り上げるべく踊ったGOGO、私が徹夜で制作した手作りの衣装(笑)…全員の息がピッタリと合ったショータイムで不覚にも少し感動してしまいました。

気付かずに陥っていたかもしれない「中年クライシス」

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私自身、「本気」で取り組むことの楽しさを久々に思い出すことができた回でした。
最近よく「中年クライシス」という言葉を耳にするようになりました。簡単に言うと中年に差し掛かると若者時代のような熱量や好奇心を失い、自分のこの先の人生における不確定要素も少なくなり、今後の人生が「だいたい予測がつく」状態になったことで無気力になってしまう現象のことを指すようです。誰かがコラムで「結末を知っているRPGをプレイしている感じ」と書いていて、なかなかいい得て妙と言ったところです。

私なんかは比較的新たな趣味に挑戦したり、けっこう頻繁に旅行にも行ったりするなど、意識的に新たな体験をするようにしていたのでこうした中年クライシスのリスクは低い方の人間だと思っていました。ただ、それでも最近は常に「本気」の7割くらいの力で生きているという感覚は確かにありました。

仕事も遊びも全力投球だったアラサー時代よりも計画性が高くなり、人生そのものが安定して来たと言えばそれまでですが、本気で挑戦するからこそ得られる喜びや達成感というものを、公私ともに久しく味わっていなかったことにも気付かされました。

すべてのプログラムを終え、閉場間近のカーテンコールとエンディング

終わりに


繰り返しになりますが、オーガナイザーが自身のイベントのことを長々と語るという野暮な文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました。

ただ、野暮だとはわかっていながらも今の気持ちをしっかりと書いておきたいと思い、今回久々にエントリを書かせていただきました。

最後に、Tinkerbell 2024にお越しいただいた皆様、誠にありがとうございました。
皆さんにとって夏の楽しい思い出の1ページを飾れたとしたら、私どもも本望です。

そして、まだお越しになったことがない方も、ぜひ来年は遊びに来てください!
それでは、皆さま素敵な夏をお過ごしください。

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