どうも。梅雨らしい日もあまりなく、すっかり夏のような日が多い7月前半でしたがいかがお過ごしでしょうか。私は今年も毎年恒例のプールパーティの準備をしたり、2025年初の海に遊びに行ったりと完全に気分は夏に突入しています。
さて、今回も家族親族に関する話になります。
昨年は7月に父が亡くなり、9月に母が後を追うように亡くなり、昨夏は正直あまり楽しめませんでした。というより、より正確にいうと昨夏から昨年末にかけて、本当に目まぐるしい日々で「記憶がない」と言うのが率直な感想です。だからこそ、今年は昨年の分まで楽しい夏にしたいなと思います。
3月に行った祖父母宅への「最後の帰省」
実は母以外にも、一昨年に叔母も亡くしており、昨年には母が亡くなったため、母のきょうだいはいよいよ伯父ひとりとなりました。
うちの母の死去まで、母たちが育った兵庫県にある母の実家は手つかずの状態で空き家として放置されていた状態でした。
伯父としても、自分の両親(私の祖父母)が苦労して買った家を手放す決断がなかなかできず、先送りにしてしまっていたそうです。
ただ、さすがに残されたきょうだいが自分ひとりとなったことで決心がついたらしく、昨冬に母たちの実家(つまり、私から見たら祖父母宅)を売りに出す決心がついたそう。更地での渡しになるので、買い主が見つかった時点で取り壊すことになるそうです。
祖父母宅は、私たちきょうだいにとっても小さな頃にお盆や冬休みになれば新幹線に乗って遊びに訪れていた場所で、近くに住んでいたわけではないもののそれなりに思い出がある場所です。ですので、買い主が見つかる前に、「最後の祖父母宅への帰省」として3月に私たちきょうだい3人で、今では完全に家主を失ってしまった祖父母宅へ行くこととなりました。
完全に時間が停止した祖父母宅内
家主亡きあとの祖父母宅も、近くに住む伯父が定期的に掃除に来てくれていたようです。
ただ、その伯父ももう高齢になり、体力的にも限界が来てしまいしばらくの間手つかずで廃墟化してしまっていました。
私たちきょうだい3人で幼い頃にこの家に来た思い出話しなどに花を咲かせながら、母の遺品となりそうなものを探していました。でも、ところどころに「平成〇〇年」で止まったままのカレンダーが掛けてあったり、もう何年も前に電池が切れてしまっていたであろう時計があったりと、私たちが忙しく働きそれぞれの生活を送っていたこの何年もの間、ここだけは時間が止まっていたんだなぁという実感をするシーンもたくさんありました。
初めて実感した「土地の記憶」
あの祖父母宅が建ったのは、もう70年近くも前のことです。
1950年代の末、高度経済成長に突入した頃の日本で急激な住宅需要が発生した中で造成された新興住宅街の一角に祖父母の家がありました。うちの場合祖父もサラリーマンで、ちょうど普通のサラリーマンが家を買うことができるようになった初めての時代のことです。
もともと何もなかった土地に住宅街ができて、母や叔母、伯父がその家で育ち、祖父母にも思い出がたくさんあったことでしょう。自身の子どもたちがいなくなった後も祖父母はそこで老後生活を送り、祖父が亡くなったあとも10年近く祖母が家を守ってきました。
その家を建てた祖父母はもう両方とも20年以上も前に他界し、2020年代に入るとその家で育った叔母が亡くなり、うちの母も亡くなり、いよいよ更地にして売りに出されることになった。
母だけでなく、祖父母、叔母、伯父など、昭和から平成の半世紀以上に渡って刻まれた、あるひとつの家族が生きてきた痕跡がこの世の中から徐々に消滅していく、その過程に今、立ち会っているんだなと深く実感した旅でした。
その土地は、誰か知らない人たちの新天地へ
土地の分譲の検索サイトで売りに出されている祖父母宅を見つけました。
1枚目の写真は見慣れた古びた祖父母の家の写真。しかし2枚目以降はその形の土地に建てられるいろいろなバリエーションのピカピカの一軒家のパース図が掲載されていました。
きっと、これから子育てが本格的に始まる若い夫婦がこの土地を買って、こういう家を建てて、この土地で新たな家族のストーリーが数十年と繰り広げられることになるのでしょう。当然、そこに新しく住む家族は、昭和から平成にかけてこの土地で過ごした私の祖父母や母たちの家族の物語など知る由もありません。それを知っているのは、ある意味でその「土地」だけです。
私もときどき不動産のサイトは見ますが、今後こうした「この家や土地だけが知っている記憶がある」と思うと、なんだか少しだけ見方が変わるなと思いました。
2024年以上にハードな年は、どうか来ないで欲しい
昨年、確か7月の第1土曜日に友人たちと海に行きました。そして、その5日後の深夜に父が他界しました。
そこからはなんとなく気持ちも晴れず生活も落ち着かない中で8月にそれまで病気の予兆すらなかった母が突如倒れて入院。そのまま退院することなく9月に他界。
今年も7月の第1土曜日に、例年通り逗子海岸に友人たちと遊びに行きました。
すごく楽しい1日でしたが、「そういえば昨年はこの海のすぐ後に父が亡くなったから、去年の夏は、心置きなく楽しく過ごせたのはこの7月の第1土曜日の逗子だけだったなぁ」なんてことも思いながら過ごしていました。
しかし、人生における数少ない不幸な出来事のひとつである「親との死別」をすでに終えたわけですから、あれ以上の年は来ないことを願いながらも、今回の記事の締めとさせていただきます。
いよいよ夏本番です!皆様にとっても素敵な夏になりますよう願っております。