41歳の決断―中年クライシスとマンションの購入

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皆様お久しぶりです。
前の記事が万博ネタだったことを考えると、またもやかなり久々の投稿になってしまいました。

その間、いろいろあったので記録も兼ねて投稿したいと思います。

2月に41歳に

おかげさまで2月6日に41歳を迎えることができました。
2年前となる39歳のスタートは小説をリリースし、仕事の方も忙しく、そんな中夏に父が他界し、その2ヶ月後に追うように母も亡くなり、本当に長く大変な1年だったと思います。

翻って、40歳の1年はまさに「秒で終わった」という感想です(笑)
前年があまりに慌ただしかったためですが、やはり39歳の1年を除いては35歳を超えたあたりから若い頃に比べて本当に変化に乏しい。だからこそ、時間の流れも早く感じます。

まさかの中年クライシス!?

私なんてまだ夏にプールパーティを開いたり、趣味の延長で小説をリリースしたりと、そこそこに刺激はある方だと思いますが、それでもやはり若い頃に比べると変化に乏しい。刺激が少ないというより、生きてきた年数と反比例するように「初めての体験」というものがどんどん少なくなって行く。

形式上は初めての体験だったとしても、何か類似した過去の体験の「構造」との共通点を見出すと、だいたい何が起こるかの予測がついてしまう、と言った感じで、この「構造」の蓄積が増えれば増えるほど、指数関数的な加速で「初めて何かを体験する感動」が薄れてしまうんですね。

当然、仕事などではこうした考え方やモノの捉え方は「経験値」とか「知見」として評価や信頼を生むものなのですが、プライベートではむしろ徐々にさまざまなことが色褪せて行く要因にもなっている。

そんなモヤモヤを抱えている最中、ある一つの大きな決断をしました。
それは、こんな中年クライシスを突破するほどのインパクトのある出来事でした。

マンション購入という一世一代の決断

両親が亡くなり少し落ち着いた後から、徐々に引っ越しを考えるようになりました。
前の家が28歳の時から住んでいる高円寺の1Kの賃貸マンションだったということもあり、40歳の自分には随分手狭になっていたことと、ライフスタイルも変わってきていたこと、また両親の他界という人生の大きな節目に立ち会い、気持ちを変えたいという動機もありました。

しかし10年ぶり以上に賃貸情報サイトを見ていると、東京23区の西部や南西部の主要路線沿線は体感で1.2倍~1.5倍くらいになっている気がしました。当時住んでいたマンションの家賃が私が28歳当時の物価の水準であったため引っ越し熱も冷めて行き、よく言う「動くに動けない状況」に陥っていた感じです。

それからしばらくして、なんとなく分譲のサイトを見たところちょうどとても気になった物件があり、私は一生賃貸派だったためまったく買うつもりはなかったのですが、賃貸よりも圧倒的に母数が少ない分譲マンションの物件の中で「ここに住みたい!」と直感で思える家に出会うというのも何かしらのこ゚縁かなと思い、冷やかしがてら内見に行ってみることにしました。

家自体はとても気に入りましたが、何と言ってもローンを組むわけですからおいそれと即決で購入は決められません。
ただ営業の方もガツガツ系ではなくゆっくりと考える時間をいただけたため、いろいろと調べる時間をしっかり取れました。
今は便利な時代でYoutubeなんかでその道の専門家の方が無料で情報を公開している時代。
住宅ローンの仕組みについてや、マンションを買う際に必ずチェックしておくポイント、何かあった際に売ったり貸したりしやすい物件の条件、修繕積立金の値上げリスクや、そのリスクの低いマンションの見分け方など…。
同時に、住宅ローン破産した人の体験談や共通点などもたくさん調べて「本当に自分の身の丈に合った物件かどうか」「自分のリスク許容度でこの額のローンは組めるか」など、慎重に熟慮して決断しました。

11月に購入を決めて、賃貸であればすぐに入居できるわけですが購入となるとそうも行かず、まずはローンの審査。そのローンだって銀行によって金利に若干の差があって、その「若干の差」だって買うものの額が大きいから熟慮しないといけない。その上で、ローン審査には約1ヶ月という時間がかかり、その間は本当にハラハラでした。
ローン審査に通った後も、追加で提出する数多の書類、登記移転の手続きなど、初めてのことばかり。

家の広さとしては前に住んでいたマンションの約2倍の広さとなるため、家電はほとんどそのまま持っていきましたが家具はほぼ全部買い換えました。リビングと寝室が別になる家に住むのも初めてで、キッチンの大きさも倍くらいになるため、特に料理が趣味な私としてはキッチンは細かな調理道具の取り回しがとても重要。
こうした家具類の調達にはとても頭を使いましたが、すべてがまさに「初めての体験」で、とても楽しい日々でした。
そして部屋の引き渡しの日が近付くにつれ、こんなにもワクワクした体験はもう何年もしてなかったなぁということに気付かされました。

新居の住心地と、見えてきた分譲のメリット

引っ越しを完了して1ヶ月が経過しましたが、生活は快適そのものです。
家も広くなり、フルリノベ物件だったので内装は新築同然。水回りもすべて取り替えられているためとても清潔で、駅からの徒歩分数も前よりも近くなりました。

分譲マンションに住んでみたメリットとしては、下記のことが挙げられます

とにかく水回りが強い

一人暮らし用の賃貸の場合、どうしても「一時的に住む場所」という前提で作られている家が多かったです。そうなると、差が出やすいのが水回りの作りだと思いました。分譲の場合、洗面所やお風呂に広い面積を割いていて、キッチンも大きい物件が多い。私の今の家も1LDKなので基本的には一人暮らしを前提としていますが、やはり分譲マンションの場合は「一生住む場所」という前提で作られていることが伺えます。この水回りの強さは、料理が趣味の私にとっては大変生活の質を上げるものでした。

「団信」という安心材料

4桁万円の買い物となるわけですから、当然ローンを組む人がほとんどになると思います。
若い頃は、自分がもし高度機能障害などになって働けなくなった際のことは考えていませんでした。しかし住宅ローンを組む場合は団体信用生命保険、通称「団信」への加入が必須となります。
自分がもし高度機能障害等で就労が困難な状態になった際や死亡した場合は、ローンの残債がすべて免除される、つまり借金がチャラになる仕組みです。団信は基本的に銀行や保証会社が入っているため、ローンの借り手は無料で入ることができます。つまり、就労不能になるほどの障害や病気を負うことがあっても、住む場所は確保される、という安心感があります。ローンを残したまま死亡することがあったとしても、家族・親族に迷惑をかけることもありません。

これに加えて、多くの銀行では「がん特約」というオプションプランもあります(私もこれに加入しました)。これは高度機能障害や死亡の他に、がんと診断された際にもローンの残債が免除となります。
できればがんにはなりたくないですが、年を追うごとにそのリスクが高まっていくのもまた事実。手術や通院にもお金がかかるし、下手をすれば術後に体力が落ちて、今のようにフルタイムで週に5日働くことができなくなるかもしれません。
仮にそういった状況に陥っても、住む場所だけは確保できるという安心感が生まれました。

同時に、こうした仕組みは義務教育や高校の授業で教えるべきだとも思いました。私も複数の銀行にローンを申し込みましたが、健康診断の結果のコピーを求めてくる金融機関もあります。求めてこないところでも、嘘を書いたら一発アウトです。ローンを組む時点で生活習慣病の予兆(中性脂肪や尿酸値が高い、糖尿病の兆候がある等)があるとローンが通らなかったり、通ったとしても金利が上乗せされたりと不利な状況となります。

だいたいの人は家を買うとなるとだいたい30代半ば~40代いっぱいくらいまでだと思います。不摂生な生活をしていると身体にガタが来始める時期です。こうした背景を考えると、若い頃から「ひとまず家を買うまでは健康リスクに気をつけて!」という教育は必要なのではないかと。昨今叫ばれる「金融教育」の中に、こうしたプログラムも組み込まれていることを願います。

金利上昇リスクはあるけれど、身の丈にあっていれば住宅ローンは怖くない

よく「これから金利は上昇するけどローンを組んでる人は大丈夫なの?」という言説をYoutubeやネットニュースなどで見ます。ただこれは、アベノミクスの真っ只中のマイナス金利の時代に、夫婦で限度額いっぱいのペアローンを借りて明らかに身の丈に合っていない住宅を購入したような人であれば金利上昇リスクは生活の破綻をもたらすものになるでしょう。

当時の銀行の審査は今以上にガバガバでした。当時の住宅ローンの金利は0.2~0.3%程度と超低金利だったため、まさに銀行としては「貸して貸して貸しまくる」状態でないと利益が取れなかったわけです。

余談ですが、私も当時、実は冷やかしで当時の年収の6倍程度の中古マンションを見に行ったのですが、まさに最初は「塩対応」と言った感じ、その家を見たあとに「今どき年収の6倍なんてリスクを恐れすぎですよ。この超低金利時代、限度額いっぱい、具体的には最低でも年収の10倍、できれば15倍くらいをフルローンで組んでも問題ありません!」と言って、実際に当時の年収の10倍くらいの家にその後連れて行ってもらったのですが、もう最初の家が完全に色褪せてしまうくらい素敵な家でした。しかし営業の方に「でも、金利って上がることもありますよね?」とお聞きしたところ「大丈夫ですよ。日本はずっとデフレでしたし、今後インフレなんて起きません。なので金利も向こう35年間上がることなんてありませんから!」と、あっけらかんとした様子で調子よく言われたのを今でも覚えています。その時は結局決めきれずに分譲は諦めました。

恐らく、当時こうした営業トークはかなり横行していたものと思われます。
「金利なんて向こう35年は上がらない」という営業トークは、今考えれば滑稽に思えますが当時をリアルタイムで生きていた人間としてはそれなりに説得力のある説明でした。

何せ、バブル崩壊以降金利も物価も下がることはあっても上がることなんて考えられませんでした。ですので、当時の超破格の金利も永遠に続くものと考える人が現れるのも無理はありません。なので、金利が少しでも上がると生活が破綻してしまう、というレベルでお金を借りてしまった人が今、住宅ローンにより破産しているという状況のようです。

とは言え、今の変動金利も0.6~0.7%。欧米などの他の先進国が4%~6%程度、まだ金融システムが未発達な新興国は10%前後、途上国に至っては家を買えるのはその国の上位数%の大金持ちのみです。
そしてここ日本でさえ、バブル前は6%~8%程度だったというのですから、金利上昇局面の今でさえ「まだまだ異次元級に安い」ということになります。

向こう数十年の経済・社会と、その中で生きる自分について真剣に考る機会だった

また、前述のアベノミクスのマイナス金利当時と逆のバイアスも起きています。
コロナ禍以降の約5年、金利は上昇基調が続いたため「金利とは今後恒久的に上昇し続けるもの」と考える人が増えていますが、本来であれば金利というのは景気の調整弁となるものです。

ローンの完済までは長い道のりです。向こう数年は上昇局面が続くのは確実と思われますが、中国の本格的な体制崩壊による不況や、米国がまたどこかにケンカを売って混乱を引き起こし世界的に景気が後退するなど、そういう事態が起きて消費が落ち込むと今度は日銀は「利下げ」を行うわけです。そうすると、当然住宅ローンの金利も引き下げられる。これを数年~10年くらいの単位で繰り返していくのが正常な経済・金融システムであって、20年~30年もデフレのまま金利も下がり続けてきたという21世紀に入ってからの日本の経済状況がむしろイレギュラーだったと言えます。

家を買うにあたり、初めてこうした数十年というスコープで経済や社会の動きを見極めながら、その中で生きる自分の人生を現実的に設計する、という経験もしました。「先のことを考える」と言っても、今までの自分はせいぜい3年とか5年とか、そういう縮尺でしか物事を考えた経験がありませんでした。こうした経験も初めてのことで刺激的なものでした。

40代への解像度が上がってきた

昨年40歳を迎え、40代最初の年を丸一年終えました。
そして、その最中に大変大きな決断をしました。

広い家に移ったことで生活の質や満足度は格段に上がったとともに、生活環境は大きく変わりました。
大きな変化があった後には、しばらく平穏な時期が続くものです。きっと向こう数年はこの新たな環境で静かに、地に足をつけて生きていくものと思われます。
その平穏さは、30代の頃には持ち合わせていなかった平穏さだと感じています。

41歳の一年、ひいては40代という時代は、平穏だけど退屈ではない、静かだけど孤独ではない、そんな時期にしていきたいと思います。

皆様新たな一年も、ぜひよろしくお願いします。

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